天なびコラム

第8661話

2024年07月14日

高ければ高いほど

今年は梅雨が明ける前から猛暑となるような日もあり、そんな日は少しでも標高の高い涼しい場所へ逃げたくもなります。そもそも標高が高くなるとなぜ気温が低くなるのでしょうか。太陽に近づくので逆に暑くなっても不思議なさそうですが。
その理由は気圧が低くなるからです。空気には圧力が下がると温度も下がる性質があります。圧力が下がると空気は膨張します。膨張するときにエネルギーを消費する分、空気の温度が低下します。空気中の水分量にもよりますが、標高が高ければ高いほど気温が下がり、だいたい標高が100m高くなると0.6℃温度が下がります。
但し、これは対流圏の標高約10kmまでの話。それより高い成層圏には太陽光をエネルギーにできるオゾン層があるので、温度が上昇することもあります。

梅雨の時期は特に大きな数字を目にしやすい降水確率。降水確率が90%、100%と高ければ高いほど、強い雨や大雨が降る印象を持ちがちですが、実は全く関係ありません。
降水確率の正しい意味は「降水量1mm以上の雨(または雪)が降る確率」です。例えば降水確率50%ならば、降水確率50%という予報が100回発表されたとき、そのうち約50回で1mm以上の雨(または雪)が降ることを表しています。そこに降る雨の強さの概念はありません。ただなんとなく、降水確率が高ければ高いほど大雨になりそうな印象がありますよね。

それなりに人生を過ごしてきて気づいたことがあります。それは、人生で超えるべき壁が高ければ高いほど、乗り越えたときに大きな充実を得られるということです。いや、乗り越えようとする過程にすら充実を得られます。当然、超えられない壁にぶち当たることの苦しみもあります。いつ超えられるか見通せず、落ち着かない日々に不安を覚えます。苦難を避けて安定を求めたい気持ちもわかります。
しかし、そういった多くの苦難を乗り越えるからこそ、壁を登り切った後の気持ち良さは格別です。そして、壁を超えるまでは見えなかった新しい世界が、そこには待っています。

チャレンジすることはもちろん大変なことです。リスクを避けて安全な選択肢を選ぶのも悪くありません。ですが、チャレンジしなかったことを後で悔やむぐらいなら、今その壁に挑んでみてはいかがでしょうか。

私も今まさに高い壁に挑戦をしています。毎日苦しくもどかしくも充実の日々です。この壁を登り切った先にどんな景色が待っているか、今日もその景色に思いを馳せています。高ければ高い壁のほうが、登り切った時に気持ちが良いはず。その言葉を信じて。

執筆者:そら