天なびコラム

第8664話

2024年07月17日

湖と沼と池

国土を海に囲まれていて且つ雨の多い日本は、海はもちろん淡水も川に湖に沼に池と、狭い国土面積でありながら様々な形で水が存在しています。
今の時期は水害が怖いですが、水のある穏やかな自然の風景は美しいです。

川と湖と沼と池、川こそ流れのあるなしの違いがありますが、他の3つの違いは答えられますか?
何となくイメージはあっても、意外と曖昧ではないでしょうか。

分野によって若干の違いはありますが、一般的には
・底で植物が育たないほどの十分な水深があるのが湖
・湖より浅くて水中植物が生い茂っているのが沼
・沼よりさらに小規模で人工的に作られたのが池
となっています。
一方で例外もあり、水深が深くても昔からその地域で沼として親しまれているものもありますし、ダム湖は人工物でありながら広さと深さがあるので池よりも大きい湖と称されています。
また、環境省は沼のことを上記に加えて「底が泥深くなっている」とも特徴づけていますが、「湖と沼は厳密には区別されていない」とも記載しています。

さて、若者言葉やネット用語に近いものではありますが、最近は好きなものに対して抜け出せないほど夢中になることを沼を使って表されます。
「沼る」という新しい動詞(?)や、夢中なものの対象を頭に付けて「◯◯沼」など。
かく言う私も、先日好きな音楽をなるべく高音質で聴こうとオーディオ周りの知識を調べ上げてそこそこの時間と金額をかけて機器を一新し、「オーディオ沼」に片足突っ込みました(笑)
語呂はともかく、これが「池る」だとどっぷり夢中になっている感じが沼より劣り、「湖る」だと深さこそありますが、夢中になることに終わりが見えないさまは湖にはない植物や泥による沼の混沌さがよくマッチします。
3つの違いを踏まえると、沼を使うのはなかなか的を射た表現ではないでしょうか。

違いが分かった上でそれぞれを見ると、より味わい深く感じられそうです。
湖と沼と池、今度見かけた時はこのちょっとした違いを思い出していただけたらと思います。
水辺のある風景を目にして心身癒されるのも、好きなものの沼にハマって心身満たされるのも、どちらもいいものです。


執筆者:そふぃー