天なびコラム

第8701話

2024年08月23日

雲の作る組織、人の作る組織

空に浮かぶ雲。スーパーセルのような超巨大な1つの積乱雲もありますが、雲は組織化して、数百kmにも及ぶ雲システムや、さらに大きな台風となって、地上の気象に大きな影響を与えます。
さらに言えば、雲1つ1つ自体も、水滴や氷の結晶(氷晶)、氷の粒(あられ)が組織のように集まったものです。

集団となって意味が生まれるのは「人間」もそうです。社会という言葉の意味が「人間が構成する集団生活」であるように、言語という人と人を繋ぐコミュニケーションツールが備わっているように、人間は集団の中で生きることを想定して作られた生物です。

水や氷の粒子が結合することでより大きな粒子になるように、雲が大きく組織化することで、強い降水システムを作るように、人と人も強く大きく繋がることで、より強く大きなエネルギーを生み出すことができます。

では、人同士が強固に繋がるためにはどうすればよいでしょうか。私は信頼を築くことだと思います。信頼を築くためには、誠実さを忘れず、相手のことを思いやり、とにかく相手を理解しようとする。その繰り返しなのだと思っています。

孔子の論語には「人の己を知らざるを患(うれ)えず、人を知らざるを患うるなり」という言葉があります。ざっくり訳すと、「自分のことを分かってくれないと嘆くよりも、自分が他人のことを理解していないことに気づくことが大事」と書いています。

人は誰しも自分が評価され、他人に認めてもらえると嬉しいものです。ですが、孔子は「自分は努力している」と思うことを止めて、「他人の努力を評価できる人になりなさい」と説いています。結果、他人を知ることで自分を知ることもでき、お互いの信頼も生まれ、人同士の繋がりも強まります。

信頼という強い絆で結ばれた人が作る組織なら、きっと自然物理の法則なんかで結合する組織よりも、遥かに大きく強く、そして優しくて温かなエネルギーを生み出すことができるはずです。

執筆者:そら