天なびコラム

第8706話

2024年08月28日

テセウスの自転車

最近、自転車のメンテナンスをしました。
比較的暑さも和らいできたので(あくまで「比較的」)、自転車に乗ってお出かけする機会も増えたからです。
チェーン等に注油し、タイヤに空気を入れ、フレームを拭いて、ブレーキやギアをチェックしました。

私の自転車は学生時代に先輩から譲ってもらったもので、やや良いグレードのクロスバイクというタイプの自転車です。車体は軽く、部品の交換も簡単にできます。
その先輩はかなりハードな使い方をしていたそうで、海外で野犬から追われた時に乗っていたなどという現代日本では考えられないエピソードと共に譲ってもらったのを記憶しています。
もらった時にはすでにサドルはボロボロ、ハンドルはネチョネチョ、ブレーキシューもペラペラだったので、交換して使いました。タイヤやチューブもこれまでに数回交換しています。
10年以上前に譲ってもらったので、その先輩が乗っていたことも勘案すると、15歳くらいになるかと思います。
これといった思い出はありませんが、私にとって、とても愛着のある自転車です。

ここ最近、チェーンがよく外れるなと感じていたのですが、今回のメンテナンスでペダル側のギアで3つあるうちの2つのギアの歯がかなり摩耗していることが判明しました。
ただこれを交換する場合、タイヤ側のギアやチェーンなど駆動周りも一新したいなという気もします。
しばらくはまだ摩耗の少ない残り1つのギアでやり過ごして、それでもだめになったら新しくしようと思います。
メンテナンスや部品の交換をして定期的にして、できるだけ長く安全に乗りたいです。

ただこうなってしまうと、交換していないのはフレームのみ。
もしフレームまで交換してしまったら、これはもはや先輩から譲ってもらった自転車といえるのか。古代ギリシャ哲学者たちの議論の的になりそうです。


執筆者:空手踊り