天なびコラム

第8713話

2024年09月04日

出られない

さて、先日オフィスの非常用の通路から出られなくなりました。
オフィスが入るビルの通路には地上までの非常階段と荷物用エレベーターに通じる扉があります。
普段は使用せず、避難訓練でしか利用したことがありませんでした。
扉で遮られてちょっとした空間があり静かそうなので、電話をかけようと入り、扉を閉めてしまいました。
電話をかけたものの繋がらずオフィスに戻ろうとしたら扉が空きません。
・・・閉めた瞬間、嫌な感じがしたんだよなあ。
そういえば、オフィス側からは開けられるけど非常口側からは開かないと言っていたような気もする。。
空調は効いてないし、時間がたつと電気まで消灯。
何度かオフィス側の通路を通る人の足音がしたので、バンバン扉をたたいてみましたが、気が付いてくれません。
気が付いてよう。
暑いよう。

避難訓練の時にどこかの階には出られると言っていたような気がする。
エレベーターに乗って降りてみようかな。。

エレベータの中をのぞいてみると暗いし、暑いし、どこかで止まったらそれはそれで怖そう。。
ええい乗っちゃえ。
避難訓練の時に出ることのできた下の方の階のボタンを押してみました。
するとなぜか上に上がっていきます。
「誰か乗ってきてくれる!」
31階までいくと清掃の方が乗ってきてくれました。
「出られなくなったんですう。」と半べそで助けを求めると、「ああ、内側からは開けられないんですよね。」と一緒にオフィスの階まで降りてくれました。
その方がふと私が首から下げていた入館証を見て、「あ、そのカードで扉、開きますよ。」と教えてくれました。
そ、そういえば避難訓練の時、い、言ってたかな。。
ピッとカードをかざすと、いつもの見慣れた通路が。
時間にしたら4分程の脱出劇でしたが、実際に災害が起きて閉じ込められた時、あの暑さでどのくらい耐えられるのだろうとか、非常時はカードなしでも扉は開くのだろうかとか、エレベーターが満員の状態だったらとか、色々考えさせられた出来事でした。

執筆者:くろごはん