天なびコラム

第8715話

2024年09月06日

平屋文化と防災

母親の実家が宮崎県日南市にあります。
その日南市が、先月だけで最大震度6弱の地震と台風10号による大雨と暴風に見舞われました。
地震の際は親戚から食器が落ちて割れたという報告があり、台風の時は近くの川の洪水キキクルをこれ以上危険度が上がるなと思いながら頻繁に見ていました。

地震と台風だけでなく、鹿児島からは桜島の火山灰が降ってくることが今でも多く、2011年頃には活動が活発になった新燃岳の火山灰が実家周辺で降り積もったこともありました。
何かと自然災害のリスクが多い町でもあるのです。

さて、宮崎に来ると周りの住宅は平屋が多く見られ、母親の実家もその近くの親戚の家も平屋です。
実は宮崎県は日本一平屋が多い都道府県とも言われており、2位も鹿児島県で九州南部が上位を占めています。
これには災害へのリスクが関係していました。

台風のような強風には、壁面の高さを低くして風の当たる面を減らした方がより安全になります。
また、火山灰が降ってきた際、屋根や雨どいに積もった火山灰を取り払うには高さの低い平屋の方が便利です。
こういった防災由来の要因と土地の価格の安さが合わさり、九州南部では平屋の文化が形成されました。
加えて、震度7を2度記録した2016年の熊本地震では、1度目で損傷→2度目で家自体の重みに耐えられず倒壊したケースが多かったことで、九州を中心に平屋の方が地震にも安心という見方が強まったそうです。

私としては昔から馴染んできた平屋ですが、土地代や人の多さがネックで都市部では圧倒的に少なく見かけるケースがほとんどありません。
それでもやはり防災の観点で一定の人気はあり、都市部でも平屋の注文は若干ながら上昇傾向にあるようです。
馴染みある平屋がこうして注目されるのは、何だか嬉しく思います。

小さい頃から何度も訪れ、ふるさと納税は日南市からしか申し込まないと自分の中でルールを作るぐらいに大好きな町です。
その申し込みの際、希望する寄付金の使い道に私はいつも環境事業を選択しています。
自然豊かでありながら災害とも隣り合わせな町で、慣れ親しんだ景色を災害に負けず保って欲しいとささやかながら願っています。


執筆者:そふぃー