天なびコラム

第8724話

2024年09月15日

刷新されたお札の印刷を観察

新紙幣が発行されて二ヶ月が経ちました。皆様のお手元には届きましたでしょうか。
わたしは先日やっと出会うことができました。電子マネー決済を多用してるためか、なかなか私のもとにはいらっしゃいませんでした。
初めて手にした新紙幣は、千円札。肖像は北里柴三郎、破傷風の治療法の開発で有名な日本近代医学の父とされる人物です。口ひげと眼鏡がお似合いの立派な学者さんという佇まいです。

まさに初めて新千円札が来たときのこと、財布を開いたとき新千円札が入ってるとは思わず「あら、五千円札が入ってたわ」と一瞬糠喜びしてしまいました。そう、同じ眼鏡をかけ口ひげをたくわえた新渡戸稲造と勘違いしたのです。
ただ、彼が五千円札の肖像だったのは、二つ前のはなし。どうして間違ってしまったのでしょうか...。半分願望だったのかもしれません。
また、私は紙幣の額面を肖像で認識している可能性が高いことも示唆されました。

さて、新紙幣には偽造防止の高度な印刷技術が施されています。高精細なすかし、3Dホログラフィ、お札を傾けると浮き上がる文字、微細な文字などなど。光にかざしたり、ルーペで見たり、色んな角度から眺めたり、一通り感動してから財布に戻しました。私と同様、じっくり観察された方も多いのではないでしょうか。
また今回はユニバーサルデザインとして、これまでの漢数字の位置にアラビア数字が大きめに表示されているのも印象的です。
お会計のときにもらうとまだ若干の違和感を覚えますが、すぐに慣れることでしょう。

今回の刷新で、一万円札は渋沢栄一、五千円札は津田梅子と三種類の紙幣の肖像がすべて変更になりました。残りの二人にはまだ出会っていませんが、楽しみにしています。
今回ラインナップから姿を消し引退することとなった福沢諭吉は、1984年から40年間日本のお札の顔だったことになります。長い間お疲れ様でした。

執筆者:空手踊り