天なびコラム

第6720話

2019年03月22日

耐震不足でテナント撤退

先日、自宅近くにあったコンビニが、突然閉店していました。駅前で便利な立地で、お客さんも入っていたので、不思議だなと思いつつ周囲を眺めてみると、同じビルに入っていたテナントが一斉に撤退しているのです。

気になって、ビルの名前で検索してみると、入っていたテナントの店主によるブログ記事がヒットしました。よく読むと、ビルが老朽化により建築基準法上の耐震基準を満たしていないため、退去を求められたことが理由のようです。

そのビルは、大通りに面している9階建てのビルで横幅が広く、壁のように見えます。大きな地震が発生して、ビルが倒壊や損傷した場合は、瓦礫が道路を塞いで、緊急車両の通行に支障をきたし、他の救援活動にも影響することが容易に想像できます。

現在の耐震基準は、1981年に導入され、震度6強〜7の地震でも倒壊、崩壊しないことが求められています。耐震基準を満たしていない建築物は、国土交通省の調査でわかっているだけでも、全国に約1千棟あるとされ(2018年4月現在)、私がこれまで買い物していたコンビニのビルも、これに含まれていたのかもしれません。

私の家の周りには、古い住宅が密集している路地もあり、その路地を歩いているときに大地震が発生すると危ないなということは認識していたのですが、何気なく利用していたコンビニも倒壊のリスクがあったことを目の当たりにすると、ヒヤッとさせられました。

国土交通省は、2025年を目途に「耐震不足」の建築物を耐震化させる方針を示しています。達成は難しいという意見も聞こえますが、公共施設や駅周辺、大通り沿いの建物など、優先度の高い建物から早急に進めてほしいと思います。

執筆者:ドローン