天なびコラム

第6721話

2019年03月23日

春の小川の草レース

学生の多くは春休みに入る頃かと思います。
夏休みほどの長さはないですが、学年の変わり目でもあるお陰か宿題は夏休みよりも少なく(笑)、短い期間を比較的ゆったりのんびりと過ごしていたように思います。
私の場合の春休みは、例によって毎年宮崎の祖父母宅にいました。

以前ご紹介しましたが、宮崎は田植えの時期がとにかく早いです。
周囲に田んぼが多い祖父母宅周辺も例外ではなく、春休みに帰ってくると田植え中か田植え済みの所ばかりでした。
田んぼの畦道は、この時期の祖父との散歩ルートでもありました。

田んぼの周囲には当然水路があり、春休みの頃には既に水が流れています。
今でこそ舗装された水路も増えたのですが、小学生の頃はただ溝を掘って固めただけのような自然の水路だらけでした。
そこで祖父と毎年開催(?)していたのが、題して「春の小川の草レース」。
お互い草花を選んで水路に同時に流し、水路と川の合流地点をゴールとして、どちらが先に流れ着くかを競うといういたってシンプルなものです。
舗装されていないが故、水路は雑草が底からも側面からも生え放題で、水流に漂う雑草に引っ掛かって一発逆転…なんてことはしょっちゅうで、意外とハラハラするものでした。
その時々によって、今日は3つずつ摘んで計6つをいっぺんに流して着順を争うとか、今日は雑草に引っ掛かったら棒で救出して数歩前から流し直しとか、独自のルールを作ることもありました。
毎日夕方の楽しみではあったものの、雨天中止の為、雨が続くと寂しいものでした。

私はいつも、家の前で咲いていたレンゲソウの花が草レースのパートナーでした。
あの紫色が小川の中では目立ちましたし、クルっと回りながら雑草をかわしていく姿はなかなか頼もしかったです。
一方で祖父はそこら辺の雑草だったり、この時期よく見かけたつくしやタンポポだったり、色々なものをチョイスしていました。

ひょっとすると、花を無造作に摘んで流すなんて残酷だと思われる人もいるかもしれませんが、子供の頃の遊びですのでどうかお許しを。
是非お試しあれとは言いにくいですが、私にとっての春の風物詩であり、思い出の1つです。
自然とのふれあいは、大人になっても心のどこかに残るものですね。


執筆者:そふぃー