天なびコラム

第7288話

2020年10月10日

台風とPRE

台風14号が接近してきています。
秋や梅雨時にはよくあることですが、台風の北側に前線が停滞していて、台風本体の雨雲がかかるよりも前から何日も広い範囲で雨が降り続いています。
しかも、台風によって南から湿った空気が流れ込んで強い雨になっているところもあるかと思います。
テレビの天気予報でもよく「台風によって南から湿った空気が流れ込んで強い雨になる」といった一文を使って説明されますが、この現象にPRE(Predecessor Rain Eventの略で、直訳すると「前任降雨」)という名前があるのを最近知りました。
PREの定義は
・24時間雨量が100mm以上であること
・レーダー画像で親台風とPREの降水域が明らかに離れていること
・親台風近傍にあった大量の水蒸気を含む空気(可降水量50mm以上)がPREの降水域に達していること
が条件とされています。3つ目が、台風によって南から湿った空気が流れ込むことです。
台風本体ではなく前線による雨と思うと気を抜いてしまいそうですが、「PREに警戒しましょう」と言われるとどうでしょう。
台風ともただの停滞前線とも違う、全く新しい警戒すべき現象として認識できるようになる、良い名付けだと私は思います。
まだ研究段階で天気予報に使える用語ではないので、このコラム以外で見聞きすることはほとんどないと思いますが、今回の台風14号では、日本の広い範囲でPREに警戒が必要ではないかと思います(執筆時点ではまだ不確定ですが)。


執筆者:ありんこ