天なびコラム

第6973話

2019年11月30日

実体験の重要性

夜空を見ていると、学生時代に所属していた天文系サークルでの活動の様子を思い起こさせた。サークル活動の一環で夏休みになると近くの小学校へ出向き「星空教室」を開いていた。数十名の小学生と保護者の方が来られ、星座の話や自作のプラネタリウム等を披露した後、実際にグラウンドで観望会を開いた。イベントを開催した時期は、土星や半月程の月がきれいに見られる時であった。望遠鏡をのぞき込む小学生や保護者の方からは、歓声が上がり、我々もとても嬉しくなったことを今でも鮮明に覚えている。

子どもの中には、天体を写真で見たことはあったが実際に望遠鏡で見たのは初めてで、写真と同じだと感動していた子もいた。また、月を観察して表面が凸凹していることを初めて知った子も多かった。今の世の中、外出先であっても、スマートフォンを片手に直ぐに知りたい情報を調べることができる。けれども、実際に観察し体験することで、自然の匂いや大気の揺らぎ、自分の体くらいの大きさの望遠鏡を操作することなど、写真だけでは得られない様々のことを経験できる。幼い頃にこのような経験をすることで自然科学への興味を少しでも持ってもらえたらとも願いながら、「星空教室」を行っている。

本や教科書、インターネットなどからの情報より、知りたい情報を得るまでには時間や手間が掛かるが、自然現象を実際に触れて知ることは、貴重な経験になると改めて感じる。




執筆者:阿波狸