天なびコラム

第7185話

2020年06月29日

飛ぶ前に見よ

最近、出張で飛行機に乗る機会が何度かありました。
座席は両側2列の小さめのプロペラ機で、コロナ対策のためにお客さんは間隔を空けるようにほぼ窓側にしか座っていませんでした。
プロペラ機は、“空気を掴んで”推進力を得るために、あまり高く空気の薄いところは飛べないので、5000mくらいが巡航高度のようです。
学生時代以来、少し久しぶりの飛行機搭乗で、今まで大きめのジェット機にしか乗ったことのない私にとっては、地上の景色がよく見えて楽しいフライトだと思っていました、はじめのうちは。
しばらく飛行をしていると、小規模ですが、雲はないのに揺れだす晴天乱気流に巻き込まれたような揺れがありました。
晴天乱気流は地上からはまず見えませんし、私は気象予報士試験の教科書でしか見たことがなかったのですが、初めて体感出来てちょっと感動しました。

着地地点は小規模な前線の近くで、雲が多く気流が複雑なところに突っ込んでいったのでかなり揺れました。
特に、ガクンと高度が落ちて、ジェットコースターの落下のように体が浮くような感覚になるのは怖かったです。
高層天気図を事前にチェックしていてある程度心構えはしていたものの、生まれて初めて「飛行機が怖い」と思ったフライトでした。

飛行機の安全性は他の交通機関と比べてもかなり高いと言われていますが、場合によっては怖い動きをすることもあると実感しました。
幸い、それ以降のフライトは、同サイズのプロペラ機でも大きく揺れることはありませんでしたが、怖いことが起こらないか常に見ておくというのは、飛行機に限らず、あらゆる気象災害に共通して言えることではないかと思いました。


執筆者:ありんこ