天なびコラム

第7258話

2020年09月10日

農業と気候

農業は気候によってその地域の特性がみられます。日照時間の関係から主に緯度ごとに栽培可能な作物が異なっており、これを栽培北限と呼んでいます。
中でも有名なのがぶどうの栽培北限で、主にヨーロッパでこの北限が引かれています。
私が中学生のときの地図帳ではぶどうの栽培北限はおおよそ北緯48度から50度前後でした。これはパリやドイツ南部付近に当たります。
ドイツ北部やイギリスなどではぶどうが生産できない、もしくは商品作物として栽培することができないと学校で習った記憶があります。
しかし最近はドイツ産やイギリス産のワインを街中で見かけるようになりました。中でもドイツ産のワインは質が良いらしく人気が高いそうです。
この原因としては、品種改良によってぶどう自体が寒さに強くなったこと、地球温暖化により栽培北限が北上したことが考えられます。
余談ですが、数年前にドイツの首相が来日した際に提供されたワインは北海道産でした。
ワインの味は気候や土壌によって特色がでると言われていますが、ヨーロッパと同緯度帯に位置する北海道のワインを提供したというのはとても興味深いですね。
最近は北海道産のワインの生産量が年々伸びているそうです。
以前目にした研究では、将来的に地球温暖化が進行した場合の農産物の生産地について、りんごが生産できなくなった青森県でみかんを生産するようになるという予測が出ており衝撃を受けました。これを読んだときは極端だなと思いましたが、最近では先述のぶどうの例もあり信憑性が上がっているような気がします。
ドイツや北海道産のワインをおいしくいただくと同時に、それが出回るようになったことの意味を考え、身近に迫る地球温暖化について多くの人が考えるきっかけになっていけばいいなと思います。


執筆者:くじらのお