天なびコラム

第7026話

2020年01月22日

水仙と季節

1月も下旬となり、庭の隅や道端に水仙の花が見られる季節となった。一般的によく見られる小さな白い花をいくつか持つ水仙は「ニホンスイセン」という名前で、ほのかな甘みのある香りが漂う。この水仙が群生し生息する地域で関西地方で有名なのは淡路島である。

淡路島の南西端付近に位置する南あわじ市にある黒岩水仙郷では、急斜面に自生する500万本もの水仙を見ることができる。急斜面の頂上部付近からは、水仙と共に紀伊水道や近隣の徳島県・和歌山県を鳥瞰することができる。先だってその黒岩水仙郷を訪ねたときは、7割程度の水仙が花を咲かせていた。近くに梅の木があったが、数輪の小さな紅色の花をつけており、近くではメジロの鳴き声が聞こえていた。これらの情景に季節は冬から春へ移り変わろうとしているように感じた。

近年、季節の変化が極端であるとともに、都会では動植物の様子より季節の変化を知ることが難しくなっている。少し都会から離れた場所で、植物の花の開花や動物の様子より季節の変化を知ることは、我々人間にとって大切なことだと考えさせられる。




執筆者:阿波狸