天なびコラム

第7237話

2020年08月20日

幻の富士六湖

山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖から成る山梨県の富士五湖は、富士山周辺の観光スポットとして皆様もご存知だと思います。
では、「富士六湖」と呼ばれる幻の6番目の湖があることはご存知でしょうか?

精進湖の近くに位置している「赤池」です。
幻と呼ばれる所以は、普段は枯渇して草で覆われているためで、大雨が降ることでようやく見られる湖です。
7〜8年に1度しか現れていない、非常に貴重な現象です。
(但し、小規模な水溜まりの状態ならもっと頻繁に見られるとも言われています。)

原理としては、ただ単に大きな窪地に雨水が溜まるのではなく、精進湖が大雨で水位上昇することがポイント。
精進湖には湖水を外に流す川がないので、増水後に地下水として湧水することで形成されると考えられています。
水を通しやすい地質なのも、地下水が湧き出る好条件に繋がっているそうです。

そんな富士六湖が、先月9年ぶりに出現したというニュースがありました。
先月と言えば全国的に梅雨の長雨が続いていた頃で、富士五湖周辺も同様に降水量が増えました。
過去の出現は台風が接近・上陸したタイミングだったこと、記憶にも新しい昨年の台風19号でも現れなかったことを考えると、今回の梅雨が実に異例の降水量だったことが想像できると思います。

ただ、9年前の2011年は東日本大震災が、その前に富士六湖が現れた2004年は新潟県中越地震が起きた年でもあり、富士六湖の出た年は不吉な年と捉える人も多いそうです。
個人的には、後付けな感じが強くてこの手の迷信は好きではないですが…既に今年はコロナ禍に令和2年7月豪雨と苦しい状況が続いており、これ以上の災害は望みたくないものです。

富士山周辺の不思議な現象として以前からずっと気になっていたのもあり、今回の出現は私としてはテンションが上がりました。
改めて、富士山は神秘でいっぱいです。


執筆者:そふぃー